2021職種関連連携ワーク終了(7月3日)/ 北海道大学医理工学院講義(7月6日)

2021職種関連連携ワークが終了しました。

大田原キャンパス 8 学科から78 チームに分かれ 861名が参加しました。他学科と連携しながらチーム医療を学びます(前期必須科目: 15回)。我々のチームは事例10 (脳疾患、心房細動、右片麻痺、失語症)高齢女性のチームケアとして連携しながら何ができるかを在宅復帰をテーマにケアの方針を決定し、発表しました。単に治療ということだけでなく、入院中、退院時、退院後のケアがどのようなことに注意し、患者さんが退院後も快適に暮らしていくために何がチームでできるか学べるのはこの大学の利点を生かしたいいシステムだと思います。来年度は実際病院内で他学科の学生とチームを組み実際患者さんの治療ケアに参加(実践)になります。

7月6日に北海道大学医理工学院で「医学技術が自然科学の発展に役立ったreverse translational research」の例として マウスを用いた動体追跡研究 のテーマで講義しました。北大在籍中に開発した 4D遺伝子発現追跡定量装置の開発に関するものです。予測不能な動きをするマウスの体の各組織の時計遺伝子の可視化および遺伝子発現量をリアルタイムに追跡定量するシステムを開発するまでの話と現在の生体深部の遺伝子発現を長期間リアルタイムで計測する話をメインに話しました。培養細胞レベルで3次元的に不規則な動きをしたとしても移動する時間や範囲は限りがあり、顕微鏡の視野で十分追跡定量することは難しいことではありません。ある程度の予測も可能であり、細胞数が多くても解析可能です。マウスの場合、動く範囲が体の少なくとも3~4倍の距離を1秒くらいで移動します。それもXY軸の平面だけでなく Z軸を含めた3次元空間を動き回ります。この間数の体の各組織の遺伝子発現をCCDカメラで撮影し、ターゲット部位の遺伝子発現を追跡定量するには さまざまな知識が必要になります。CCDカメラに入る光量の角度が非常に重要ですが、現在 麻酔をかけて固定した状態でマウスの遺伝子発現を定量しているところが殆どだと思います。この解析で注意しないといけないのは 麻酔をかけたマウスのカメラに対する位置と角度がちょっと変わるだけで定量値がかなり変わるということです。逆を言うと簡単にデータを操作できます。薬物が遺伝子発現を2倍ほど増加あるいは減少させる時 マウスの角度を変えるだけで差をつくることもできるからです。そのため定量はリアルタイムに連続的にヒトの手が触れない自由行動条件下が重要になってきます。作製しました4D遺伝子発現追跡定量装置の精度は 臨床上使用されていることからも判断できます。4D遺伝子発現追跡定量装置の追跡システムは 臨床 癌治療でもちいている放射線治療に使用されています。肺などの臓器に癌がある場合、放射線治療は癌組織および正常組織を含む非常に大きな部位に放射線をあてる必要がありました。理由として肺が動くためです。そのため肺にある癌をリアルタイムに追跡しながら放射線をあてるのが動体追跡放射線治療装置になります。癌組織だけを正確に追跡することで(正確には金マーカー)(追跡スピードは40Hz)、癌組織特異的に放射線をあてることができ、正常組織の破壊を最小限に抑えることができます。現在は陽子線治療も同様なシステムで行っており、このシステムに追跡技術が使用されています。放射線をあてる誤差は1mmもありません。1ミリ以下の誤差で正確に動いているターゲット部位に放射線をあて癌治療を行っております。

あとコロナワクチンに関して

最近 コロナウイルスワクチン(コミナティ筋注:ファイザー社)をうつ機会がありました。ワクチン接種後 15分くらいは会場で待機し、ワクチンを接種する人がもらう説明書を接種会場で読んでみるとmRNAを脂質の膜に包んだ製剤ですと書いてある。添付書類には有効成分: トジナメラン(スパイクタンパク質をコードする全長mRNA)、添加物にはポリエチレングリコール-2000、コレステロール、リン酸緩衝液、塩類の塩化ナトリウム、容量調製賦形剤白糖などあった。詳しく調べてないけれども これから読み取るとコロナウイルスワクチンはおそらくステルスリポソーム製剤/ステルス脂質ナノ粒子製剤だろう。ステルス製剤は生体内に入った物質を捕食する細胞群から感知されにくく、スルリと生体防御システムからのがれ、血中に留まる時間を延長する効果を持つ。

結果的に血中滞在時間が延長するため、ステルスリポソーム製剤/ステルス脂質ナノ粒子製剤が集まりやすいところで薬物の効果がでやすくなる。癌などでよく投与されるが、癌が形成する血管がもろく、漏れやすいので、ステルス製剤は癌などの組織に集積しやすい。受動的ターゲッティング製剤でもある。入院癌患者ではコロナウイルスワクチンの接種には専門家がアドバイスすると思うが、まだ本人が気づいてなく癌が進行している途中の見た目は健康そうにみえるひとにはコロナウイルスワクチンはどのように作用するのか興味がわく。製造元は考慮してワクチン作製していると思うので情報があれば知りたいところ。

コロナウイルスは感染部位の細胞表面上に多く発現しているACE2受容体に結合し、細胞内に侵入する。ACE2は肺上皮細胞に多く発現しているが、その他の臓器にも少なからず発現しているところがありコロナウイルスの作用点は肺のみでないと考えられる。肺は生命維持に大変重要である呼吸に関与している。コロナウイルスの作用部位の一つに肺組織内サーファクタント(界面活性物質を含む物質)産生細胞があり、ここが破壊されると肺胞が収縮できなくなり最終的に肺胞がしぼむ。一回しぼんだ肺胞を膨らますことはかなり厳しい。肺が空気をとりいれ膨らむのは界面活性剤のようなサーファクタントが肺の表面張力を落とす能力をもつため、ヒトは呼吸ができる。その呼吸を誘導するサーファクタント産生細胞が破壊されると、致命的である。ステルス剤で選択的にターゲット組織に集積しなく、まず全身に広がると考えるとある程度の副作用がでても不思議ではない。ある程度想定の範囲内である。幸い 熱も出ず、腕が痛いくらいでおさまっている。今後は接種会場でサポートにまわるときも出てくるが積極的に貢献できればと思う。



Hamada Lab.

Why do we become more susceptible to disease and disability as we age? 体内時計研究  Department of Pharmaceutical Sciences International University of Health and Welfare (IUHW) Tochigi, 324-801, Japan