組織密着型センサー

 組織密着型センサーとは

   近年、血液中のヘモグロビンに発光吸収されることが少ないため生体深部の非侵襲性イメージングには適していると言われる近赤外線プローブの開発が進んでいます。しかしながら、生理学的条件下での計測となれば、自由行動しているマウスの生体深部の遺伝子発現定量は、骨や臓器による発光波長の吸収やカメラへの角度や距離などを考慮しなければならず正確性に欠けます。ましてや周期的遺伝子発現の測定のためには、低い発光と高い発光を捉えなければならないため現在の技術では生体深部(脳深部、内臓など)の遺伝子発現を長期間安定してCCDカメラで定量するには無理があります。1細胞レベルでの遺伝子が発現している確認や特定組織に発現している確認などでは可能かもしれません。しかしながら自由に行動しているマウスの生体深部の遺伝子発現を長期間定量するのは現在のところ不可能です。そこで我々は生体深部の遺伝子発現量を安定して長期間 低侵襲の方法で計測する組織密着型センサーを開発しました。組織密着型センサーは光子を直接計測するため、自由行動下マウスにおいての定量化測定の最大の弱点であるカメラと標的の距離やカメラの角度による光感度を考慮する必要がありません。組織密着型センサーはμPMTシステムと光ファイバーシステムの2つを開発しております。これら2つのセンサーは組織密着型であり、組織を傷つけることなく自由行動条件下、遺伝子発現の長期定量が可能です。μPMTシステムは世界で最も小さいPMTを用いてEM-CCDカメラでは検出限界の光を検知し遺伝子発現を定量します。光ファイバーシステムは光ファイバー先端を特殊加工しファイバー末端を小型PMTに接続し遺伝子発現を定量します。現在マルチバンドの光ファイバーによるイメージングシステムがありますがファイバーが束になっているため固く、マウスに取り付けた場合 マウスの行動を著しく拘束し、この状態で長期間計測することはよくありません。以上2つの組織密着型センサーはEM-CCDカメラでの計測と比較すると検出感度が格段にあがるため生体内での極少数の癌細胞を検出できることが期待されます。そこで我々は環境によるストレスなどによる癌発症機構解明および極めて極初期段階の癌を検出するシステム構築を目指し研究しています。

上記イラストでは脳最深部である視床下部奥低にある体内時計中枢:視交叉上核(Suprachiasmatic nucleus: SCN) 、脳深部部位である嗅球の中心部位、生体深部である肝臓における同時計測例を示しています。


 


 乳癌 

  乳癌は現代社会において深刻な疾患であります。睡看護師は24時間体制の勤務が求められるため不規則な睡眠覚醒が強いられている。このように不規則勤務する女性の乳癌の発生率は、昼間勤務の人に比べ3倍に増加する。2007年に国際癌研究機構から、不規則な睡眠は発癌分類グループ2A(発癌性がおそらくある)に追加されましたが、その癌発症機構については全くの不明であります。睡眠サイクルの乱れが乳癌を誘発する危険因子の一つでありますが、その機構について全くの不明であるため、全身各組織の時計遺伝子発現リズムを計測することが、疾患発症機構の解明には不可欠であると考えられます。現在の癌治療の最大の問題点は、内蔵深いところにある癌がいつ生成されるか検出できない点にある。早期発見は、癌の治療効果も高く、生存率が著しく上がる。我々は、乳癌に着目し、睡眠サイクルの乱れにより(生体各組織の情報交換の乱れ)、乳癌の発生過程を各組織の体内時計のリズムの乱れ方から判断していく今までに全くない検出法で発症機構解明にチャレンジしている。これは癌の進行度を検出する独創的なシステムである。また癌細胞の数と検出効力のデータを基準化することで生体深部にどれくらい癌細胞があるか即座に判断できることも本システムの特徴である。DuFTsystemと組織密着型センサーにより生体全体を表面から深部まで網羅的に、そして睡眠覚醒や行動などの表現型と同時計測・解析することで疾患発症機構解明に突破口をみいだせると思っています。



μPMT システム

 作成中



光ファイバー システム

 作成中