覚醒剤による脳神経変化時期を毛1本から検出することに成功

薬学部6年生 佐藤、金井らの論文が Cells に掲載されました。

Analysis of the Anticipatory Behavior Formation Mechanism Induced by Methamphetamine Using a Single HairCells, 2023, 12(4), 654 

覚醒剤による脳神経変化時期を毛1本から検出することに成功しました。

覚醒剤は一生、投与した効果が生体に残るといわれており、薬物投与を止めたとしても体は その効果は減じることはない。この逆耐性現象の詳しい機構は未だに解明されていない。

覚醒剤は、さらに予知行動リズムを形成する事も報告されている。毎日一定時刻に覚醒剤を投与すると、薬物を投与する数時間前から体に変化がおきる。マウスやラットに毎日一定時刻に覚醒剤を投与すると、投与の数時間前から活動量が増加し、体が何時に覚醒剤を投与されていることを予知しているような現象が生じる。予知行動形成は, 逆耐性現象を含む感受性の増加と覚醒剤投与により脳内に新たな神経回路が形成された結果、誘発されると考えられる。予知行動形成に従い、時計遺伝子発現リズムも変化することが報告されていたが、一個体レベルで連続的に時計遺伝子発現リズムを計測し予知行動形成過程との関係をリアルタイムに調べた報告は無い。

今回、我々は覚醒剤による予知行動形成機構が、覚醒剤投与からいつの時期に形成されるか、非侵襲的に、簡単に計測できる方法を、毛1本をもちいて確立しました。覚醒剤投与により予知行動を制御する脳神経回路が形成されることを、毛の Per1 発現から検出でき、3日で形成されることを明らかにしました。

Hamada Lab.

Why do we become more susceptible to disease and disability as we age? 体内時計研究  Department of Pharmaceutical Sciences International University of Health and Welfare (IUHW) Tochigi, 324-801, Japan