The 146th Kanto Regional Meeting of The Japanese Pharmacological Society (第146回 日本薬理学会 関東部会)

 The 146th Kanto Regional Meeting of The Japanese Pharmacological Society

第146回 日本薬理学会 関東部会 が 2022年6月18日開催されました。

当研究室では 高木さんと田中さんが発表しました。

哺乳類生体リズムの研究では、脳内組織:視交叉上核(SCN)が体内時計中枢であり、体内時計機構をつくりだす時計遺伝子 Period が明らかにされたことで、生体リズム研究のハードルが低くなりました。すなわちとっかかりやすい研究 (誰でも簡単に始められる研究)になり、時計中枢SCNの基本メカニズムなどの研究に、それほど大型の予算をかける必要もない時代の流れになっています。逆に生体リズムがいかにさまざまな疾患に関与しているかの研究が、今後の選択の1つにあります。このような研究では時計中枢SCNよりも末梢組織の活動リズムの乱れがどのように形成(惹起)されるか?が重要です。さまざまな疾患とより密接に関係しているのは末梢組織であるからです。我々の研究室は、末梢組織の活動リズムを長期間、複数生体部位から計測し、疾患発症および疾患の重篤化といかに関係しているかを調べています。その中の2つの研究を今回、発表しました。


1. 「時計遺伝子発現を利用した糖尿病の極めて初期段階をとらえる研究」

高木美沙(薬学部5年)、田中杏実(薬学部5年)、茂手木ひなき(薬学部5年)、福島汐里(薬学部5年)、野上将大(薬学部5年)、浜田和子、浜田俊幸

【糖尿病初期段階は症状が出ず、初期段階をとらえることは難しい。我々は極めてシンプルに迅速に糖尿病初期段階をとらえるシステム構築を試みた。時計遺伝子Per1が、糖尿病初期段階で過大発現することを見出し、毛一本から糖尿病異常のシグナルをとらえることに成功した。毛をもちいて糖尿病の病態ステージの同定が可能になるものと思われます】


2. 「覚醒剤が体内時計に作用する過程をリアルタイムに可視化する」

田中杏実(薬学部5年)、高木美沙(薬学部5年)、茂手木ひなき(薬学部5年)、福島汐里(薬学部5年)、野上将大(薬学部5年)、浜田和子、浜田俊幸

【地球上の明暗サイクルに生体リズムを同調している地球上の多くの生物は、明暗条件下で体の機能がうまく作動するようなシステムも持っている。しかしながら昼夜を問わない近代の24時間社会では、地球上の明暗サイクルを無視した生活スタイルが蔓延化し、1日の明暗リズムに体のリズムが合わないことによる体調不良、睡眠障害を始めとして糖尿病、乳がん、不妊症などの様々なリズム性疾患が発症するリスクが高い。この明暗リズムへの体全体の同調機構の解明には明暗周期での時計遺伝子発現「定量」解析が重要であるが、現在の光計測技術では、明暗サイクルでの長期間遺伝子発現定量は困難である。我々は生体リズムを明暗条件下に同調させた条件である明暗サイクルで、連続的に長期間遺伝子発現定量およびリズム解析を可能とするシステムを構築した。本システムをもちいて覚醒剤が、生体の明暗同調リズムを破綻させる過程を可視化することに成功した】

 



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ZOOM 発表後 研究室にて 6月18日2022年

Hamada Lab.

Why do we become more susceptible to disease and disability as we age? 体内時計研究  Department of Pharmaceutical Sciences International University of Health and Welfare (IUHW) Tochigi, 324-801, Japan