最近の研究成果 「糖尿病初期段階を毛でとらえることに成功」プレスリリース

最近の研究成果をプレスリリースしました。2021年9月28日

プレスリリース内容: 血糖値は正常であり、将来的に糖尿病になる未病段階において時計遺伝子が一過性に上昇することで糖尿病発症のトリガーになることを発見した。毛をもちいた極めて簡易的な方法で糖尿病の未病段階か発症直後、重篤化の状態を判断する基盤を確立した。】


近年 糖尿病は急激に増加しており、糖尿病は発症してから様々な合併症を誘発し重篤化するため、極めて初期段階でみつけることが重要です。

我々は時計遺伝子Period1 (Per1)が糖尿病未病段階で急激に増加することが、糖尿病の初期段階であることを見出しました。このPer1の増加は毛からも簡易的に検出でき、毛から糖尿病初期段階をとらえることに成功しました。

今後 1本の毛から糖尿病の発症の段階を未病段階から重篤化の状態まで検出できる簡易システムを構築できることが考えられます。


プレスリリース

研究論文名

     The analysis of Period1 gene expression in vivo and in vitro using a micro PMT system 

      (マイクロPMTをもちいたインビボおよびインビトロにおけるPeriod1遺伝子発現解析)

著者,所属

    Hamada K1, Ishii Y1, Yoshida Y1, Nakaya M1, Sato Y1, Kanai M1, Kikuchi Y1

    Yamaguchi T1, Iijima N1, Sutherland K2, Hamada T1,2 

      (浜田和子1石井悠暉1(薬学部6年), 吉田幸那1(薬学部6年)、中屋美月1(薬学部6年), 

      佐藤良祐1(薬学部6年), 金井恩熙1(薬学部5年), 菊池祥裕1(薬学部R3年卒), 山口剛史1, 飯島典生1

      ケネス・リー・サザーランド2, 浜田俊幸1,2,  1国際医療福祉大学、2北海道大学)

公表雑誌Biochemical and Biophysical Research Communications (9月3日on line公表)


研究成果のポイント

1・世界で最も小さい光検出器(マイクロPMT)をもちいた遺伝子発現計測システムを開発し、自由行動マウスの時計遺伝子発現を糖尿病発症前後においてリアルタイムに超高感度計測に成功。

2・糖尿病発症前の未病段階(血糖値が正常値レベル)過程において、体毛で時計遺伝子発現を検出することで糖尿病の極めて初期段階を簡易にとらえることに成功。

3・糖尿病発症時期(血糖値が異常レベル)はヒゲ1本からとらえることができ、将来的にヒト糖尿病初期段階の検出法に貢献できる可能性が考えられる。


研究成果の概要

自由行動マウスの脳内および末梢組織の遺伝子発現を超高感度で長期間計測するシステムを開発し、糖尿病が発症する過程において時計遺伝子Period1Per1)発現変化をリアルタイムに計測することに成功しました。糖尿病が重篤化する前にPer1発現が一過性に上昇し、その後、糖尿病を示す高血糖および行動睡・眠覚醒リズムが消失し、糖尿病が重篤化する過程において、糖尿病が発症する前の未病段階で急激なPer1遺伝子発現は体毛から、糖尿病発症時にはヒゲから検出でき、今後、糖尿病の極めて初期段階の発症機構研究に大きく貢献できる可能性が考えられます。この研究成果は,国際医療福祉大学薬学部の浜田俊幸 准教授が中心となって実施し, Biochemical and Biophysical Research Communications 誌に発表されました。

Hamada Lab.

Why do we become more susceptible to disease and disability as we age? 体内時計研究  Department of Pharmaceutical Sciences International University of Health and Welfare (IUHW) Tochigi, 324-801, Japan