覚醒剤による脳神経変化の時期を毛1本から検出するシステム構築に成功

覚醒剤メタンフェタミンによる脳神経変化の時期を毛1本から検出するシステムを構築することに成功しました。これは薬学部年齢軸生命機能解析学分野2020~2022卒研生らによる卒業研究の成果です。研究成果は、第29回日本時間生物学会学術大会(2022年12月3-4日, 開催地 宇都宮大学)で以下のように発表しました。

福島汐里(その他8名)

「ヒゲ一本から覚醒剤投与時刻の時間記憶形成機構の解明」

また併せて、国際学術誌 Cells に掲載されました。


◎覚醒剤による脳神経変化の時期を毛1本から検出することに成功

国際医療福祉大学 NEWS RELEASEで発表)

◎【研究成果のポイント

・覚せい剤の服用は生体に投与を予知させる神経回路を出現させるが、その効果をヒゲ1本のサンプルから検出することに成功した。

・この予知行動リズムは毛の時計遺伝子Period 1(Per 1)の発現変化により検出でき、今後の覚せい剤関連研究に大きく貢献できる。

研究成果の概要

毎日一定時刻にマウスやラットに覚醒剤を投与すると、投与の数時間前から活動量が増加し、体が何時に覚醒剤を投与されていることを予知しているような予知行動リズムが誘発される。予知行動は覚醒剤投与により脳内に新たな神経回路が形成され発現すると考えられ、覚醒剤の脳神経に作用する機構解明にもつながる。予知行動形成には時計遺伝子の発現誘導が伴うことが報告されているが詳細な機構は明らかとなっていない。今回、簡易的かつ非侵襲的に予知行動形成を毛1本から解析する計測システムを開発し、予知行動形成時期は毛の時計遺伝子Period1Per1)発現変化で検出でき、覚醒剤投与3日目に形成されることを明らかにしました。今後、覚醒剤による予知行動形成機構および覚醒剤関連研究に大きく貢献できる可能性が考えられます。

研究論文名:Analysis of the Anticipatory Behavior Formation Mechanism Induced by Methamphetamine Using a Single Hair

著者:Sato R*, Kanai M*, Yoshida Y, Fukushima S, Nogami M, Yamaguchi T, Iijima N, Sutherland K, Haga S, Ozaki M, Hamada K, Hamada T# (*equal contribution, # Correspondence)

公表雑誌:Cells 12(4),654, 2023

The Hamada Lab.

4月から浜田俊幸が教授に昇進しました。 生体リズム、体内時計、時計遺伝子、睡眠、糖尿病、鬱病、乳がん Department of Pharmaceutical Sciences International University of Health and Welfare (IUHW) Tochigi, 324-801, Japan